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資源小国の挑戦 第1章 共生に向けて(7) 夢のバイオマス「厄介者」を有効利用
2006年02月09日
 長さ390メートルの橋で陸地と結ばれた愛知県蒲郡市の竹島。周囲を約30分で回れる遊歩道が整い、中央部には神社もある。国の天然記念物に指定され、市のシンボルでもある小島が「緑の異物」に襲われたのは昨年12月のことだ。

 「犯人」は海から流れ着き、腐敗したアオサと呼ばれる海藻。春から秋にかけての発生が一般的だが、暖冬の影響もあって厚さ30センチも堆積した。

 「せっかくの初詣が台無しになってしまう。島の景観を守るために臨時予算で撤去した」。蒲郡市の本多芳広環境課長は、憤りを隠さない。竹島では平成14年にも約1600トンのアオサが大量発生し、観光資源でもある潮干狩りが打撃を受けたからだ。

 アオサの存在は”やっかいもの”でしかない。しかし、これを逆手に、新たなエネルギー源として活用しようとの機運も出始めた。


 横浜市磯子区にある大手造船会社の工場敷地。東京ガスと経済産業省の外郭団体、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が、アオサをはじめ海藻類からバイオガスを取り出すプラントの実証実験を行っている。

 大量のアオサをドロドロ状態になるまで破砕。微生物に分解させて、そのさいに発生するメタンガスを取り出すというものだ。プラントに近づいてみると、確かに磯の香りが漂っている。

 実験開始から2年あまり。海藻1トン当たりから20~30立方メートルのメタンガスを採取できるまでになった。一般家庭で使われる、半月分のガス量に匹敵する。

 「実用化のメドがほぼ立った」。東京ガス総合研究所の松井徹主幹は胸を張る一方、発生するガスの熱量が安定しない難点もある。このため、都市ガスと混合し、発電用のガスエンジンの燃料としての利用が有力だ。

 海藻の確保策や海岸からの回収コストといった乗り越える課題は多いものの、日本は四方を海に囲まれた海洋国家。無尽蔵の海藻から新たな燃料を生み出せれば、「夢の技術」として登場するシナリオも現実味を帯びてくる。


 ”やっかいもの”に生命を吹き込み、再利用しようとの考えは生物に由来する有機性資源の「バイオマス」も同じだ。豚や牛などの排泄物や下水道から出る汚泥すら「貴重な資源」となる。

 一例が、Jパワー(電源開発)の実験。長崎県松浦市の松浦火力発電所で、下水汚泥から作り出された「バイオソリッド燃料」を石炭に混ぜた発電に余念がない。

 バイオソリッド燃料は汚泥に使用済みの食用油を混ぜて加熱し、乾燥させたもの。石炭とほぼ同等のエネルギー効率を持つ「汚泥の天ぷら」といえなくもない。

 バイオソリッド燃料を生産する福岡県の御笠川浄化センター(福岡市)の汚泥処理量は、1日当たり130トン前後。このうち30トンを活用して、8.4トンの「汚泥の天ぷら」が誕生している。

 Jパワーで1年に約1万2千トン使ったところ、「環境への影響が少なく扱いやすい」事が判明し、さらに実証実験を重ねる予定だ。

 これまで同センターは溶融処理した汚泥をセメント材料として費用を払って引き取ってもらっていたが、うまくいけば有料販売への道も開ける。矢野洋一郎技術主査によると、「汚泥1トン当たり2万円の処理費用の削減につながる」という。

 日本で年間約3200万トン排出されるし尿汚泥。堆肥材料としての利用だけでなく燃料として脚光を浴びれば、環境問題に及ぼす効果は計り知れない。


 バイオマスの活用を推進するため、14年に政府の策定した「バイオマス・ニッポン総合戦略」によると、年間約1900万トン発生するといわれる生ゴミなどの食品廃棄物は約9割が焼却・埋め立て処理されている。これに対し、間伐材などの林地材約480万トンの約6割は未使用のままだ。

 こうしたバイオマスを全てエネルギーに換算できたとすると、原油換算で約3500キロリットルに達するという。日本の原油消費量の約40日分を節約できる計算だ。

 日本人が糞尿を肥やしに再利用してきたように、不要物の効率利用は、無資源国・日本の生み出す新たなエネルギーとなる可能性を秘めている。

2006年2月8日 産経新聞特集
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