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資源小国の挑戦 第1章 共生に向けて(6) CO2削減”物流”動く
2006年02月07日
 午後5時54分。夕闇に包まれた梶ヶ谷貨物ターミナル駅(川崎市宮前区)に警笛が鳴り響き、21両編成の「ゴミ列車」が定刻通りに出発した。

 「普通のコンテナと見分けがつかないでしょう。でも、この『積み荷』を毎日、きちんと届けることが大事なんだ」。蛭川勝駅長が直立不動で見送る。

 コンテナに積まれているのは、家庭などから川崎市が収集したゴミ。JR貨物の「クリーン川崎号」は、全国で唯一、廃棄物を専用に輸送している貨物列車だ。

 途中駅を通過しても、ホームで気付く乗客は少ない。一般ゴミ、粗大ゴミ、空き缶・空瓶などゴミの種類によって専用のコンテナが用意され、悪臭や汚水が漏れ出さないよう密封度を高めているからだ。

 列車は30分かけて約23キロを走り、海岸に近い末広町駅に到着。このあと、ゴミは近くの処理施設に運搬車で運ばれた。


 東西に細長い地形の川崎市。内陸部二ヶ所と海岸部二ヶ所の処理センターでゴミを処理しているが、住宅地の集まる内陸部での排出量が人口の急増によって年々増え、処理能力が限界に近付いた。

 内陸部のゴミの一部を海岸部に搬送することになったが、「川崎では、その手段が大問題だった」と秋元一実市処理計画課長は振り返る。

 昭和40年代に公害病が問題化した川崎市は、「環境問題に敏感な市民が多い」(秋元課長)。慢性的に渋滞も起きており、いくらゴミを処理するためとはいえ、排ガスをまき散らしながらトラックを連ねて運ぶわけにはいかない。

 その時、市の職員らの頭に、市内を縦断しているJRのレールが浮かんだ。「列車なら排ガスを抑えられるし、渋滞もないから輸送効率もアップする」。一石二鳥ではないか-。

 こうして平成7年、ゴミ列車が走り出す。1日1往復して、年間8万5千トンのゴミを運んでいる。


 「モーダルシフト」。輸送手段をトラックから環境への負担が少ない鉄道や船舶に切り替えることをこう呼ぶ。ゴミ列車は、そのモデルケースとされる。

 街がまだ寝静まっている午前5時20分。東京・八潮の東京貨物ターミナル駅構内をフォークリフトが忙しく駆け回り始めた。「弾丸列車」が、6時間の旅を終えて到着したのだ。

 前夜、大阪で積み込まれたコンテナがトラックに手際よく積み降ろされていく。荷物の多くは宅配貨物で、ここから首都圏の物流センターへ運ばれる。

 JR貨物が佐川急便のために開発した特急コンテナ電車「スーパーレールカーゴ」。通常の貨物は1両の電気機関車で牽引するが、スーパーレールカーゴは4両でコンテナを引っ張る。最高時速130キロ。在来線の特急並の韋駄天ぶりで、他の貨物より1時間早く東京と大阪を結ぶ。

 「モーダルシフトに取り組む荷主企業が増えている。それにつれてスピードアップが要求されるようになったんです」。佐川の松本秀一CSR環境推進部課長がスーパーカーゴを導入した理由を説明する。


 先進国に温室効果ガスの削減を義務付けた京都議定書。日本も平成24年までに二酸化炭素(CO2)の排出量を2年比で6%減らさなければならない。

 運輸部門では9年をピークにCO2は削減基調に転じたが、目標達成には相当な努力が必要だ。とくに同部門の9割を占める自動車からの排出量を減らすことが急務。一方で、コンビニエンスストアや宅配便の普及でトラックによる貨物輸送量は年々増えている。

 そうした中で、「CO2削減の切り札になる」(国土交通省の中村吉明・貨物流通システム高度化推進調整官)と期待されているのがモーダルシフトだ。

 CO2排出量を比較すると、鉄道はトラックの8分の1に過ぎない。例えば、スーパーレールカーゴは東西を毎日1往復しているが、これは10トントラック56台に相当する。年間では1万6千台ものトラック便を削減した勘定だ。

 国交省によると、輸送距離500キロ以上の「モーダルシフト率」はまだ30%強に過ぎない。だが、その普及に向けた「グリーン物流パートナーシップ会議」が官民の共同で発足するなど、モーダルシフト導入の機運は高まっている。

 日本が世界に公約したCO2 6%削減に向けて物流関係者は動き出した。

2006年2月7日 産経新聞特集
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