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資源小国の挑戦 第1章 共生に向けて(3) 注目集める石油無尽蔵説
2006年02月04日
 降りしきる雪の中で、ウインチの音が間断なく響く。長さ27メートルのパイプが次々と採掘井戸の中に下ろされていく。新潟中越地震で大きな被害を受けた長岡市は、日本有数の天然ガス産出地でもある。帝国石油はここで昨年10月から採掘作業を始めた。

 原油や天然ガスを生産する採掘井戸は、パイプ先にビットと呼ばれる刃を取り付け、パイプを回転させながら地中を掘り進める。だが、ビットの寿命は80時間ほど。ビット交換のたび、地中に送り込んだパイプを地上に引き上げ、再び井戸の中に下ろすという地道な作業が続く。

 櫓(やぐら)の上の作業は雪で滑りやすい。最上部では命綱が頼りだ。「典型的な3K(汚い、きつい、危険)ですよ」。採掘現場で作業を統括する松沢三朗削井部主管は苦笑する。

 採掘は垂直に掘り進められているわけではない。傾斜掘りという技術が導入され、原油やガスが埋蔵されていると見られる方向に徐々に曲げていくのだ。帝石が堀削している井戸も、垂直方向の深さは4600メートルに及ぶが、さらに櫓を基点に横方向にも150メートルほど掘り進められる。「だいたい、あの下あたりですね」。松沢主管は敷地外の信号機を指した。

 最近ではこうした傾斜掘りに加え、地表と水平に掘り進める水平掘りも採用されるようになってきている。英メジャー(国際石油資本)のBPによると、昨年時点で世界の原油可採埋蔵量は41年分だが、ここ15年以上、ほとんど埋蔵量は変わっていない。原油消費量は年々増えているのに可採埋蔵量が減らないのは、採掘技術の進歩で新たな油田の採掘が可能になったからだ。


 原油に代わる新たなエネルギー資源の開発も急ピッチで進んでいる。

 「これが新しい資源か」
 静岡県の沖合で昨年2月、全長約150メートルの巨大な資源掘削調査船の上で、石油天然ガス・金属鉱物資源機構の藤井哲也研究員は胸を躍らせた。水深700メートルを超える海底を100メートル以上掘り進んだ地中から引き上げたプラスチック管の中には、砂混じりの灰色の氷の塊が泡を吹いていた。メタンハイドレートの採取に成功したのだ。

 メタンハイドレートは、約100万年前に堆積物の中で精製された有機物のメタンが地中や海底の高圧と低温で氷の結晶に取り込まれ、シャーベット状に固まったものだ。地上に出ると氷が解け、1立方メートルのメタンハイドレートには約170立方メートルのメタンガスが凝縮されている。氷の状態でも火を近づければ炎を上げる「燃える氷」だ。

 メタンハイドレートは世界各地の沿岸地域などに存在し、その埋蔵量は日本近海だけで国内の天然ガス消費量の100年分に相当するとされる。採掘や取り扱い方法がまだ難しいが、実用化できれば日本が資源大国になる可能性さえ秘めている。


 一般に石油は海や湖にいたプランクトンなどの死骸が地中にたまり、数千万年の長い年月が経過するうちに地下の圧力や熱によって石油に変化したといわれている。これが「有機説」だ。メタンハイドレートもこれと同じ原理で生成されたと考えられている。

 これに対し、世界の研究者の間では全く違う生成過程が唱えられている。地殻深部に豊富に存在する炭化水素が岩盤の割れ目を通じ、地表付近にまで染み出してきたという「無機説」だ。

 異端の説として、世界の石油業界関係者はほとんど注目してこなかった。しかし、昨年6月に米国石油地質家協会(AAPG)がカナダで開いた研究会で、この無機説を正式な議題に取り上げたことで話題となった。

 もし無機説が正しいとすれば、石油資源はほぼ無限に存在することになる。「その裏づけがどんどん出てきている」。日本エネルギー経済研究所の中島敬史主任研究員がこう話すように、日本でもはっきりと無機説を主張する研究者がいる。無機説の検証はこれからだが、大手石油元売り幹部は「本当の原油可採埋蔵量さえつかめない中で、行き過ぎた『原油枯渇論』の台頭は逆に原油需給の波乱要因となりかねない」と警鐘を鳴らしている。

2006年2月3日 産経新聞特集
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