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資源小国の挑戦 第1章 共生に向けて(2) 求められる国家戦略
2006年02月02日
 沖縄本島から北西へ約300キロ。東シナ海の見渡す限りの大海原に巨大な海上プラントがそびえ立つ。中国が十数年前から調査・開発してきた天外天(日本名・樫)石油ガス田の採掘施設だ。採掘時に石油や天然ガスの余剰成分を燃やす「フレア」と呼ばれる炎が昨年9月に初めて上がり、生産が本格化しようとしている。天外天の威容には、資源エネルギー庁幹部も、「従来の中国の施設よりも格段に洗練され、西側諸国の技術水準に近い」と舌を巻く。

 天外天から南に約18キロの春暁(日本名・白樫)石油ガス田も生産開始が近い。春暁のプラント施設には「ここは中国の権益だ」と日本にアピールしているかのように、深紅の中国国旗がはためく。

 中国側の生産が進めば、日中中間線を超えて日本側の埋蔵資源まで吸い尽くされかねない。しかし、問題解決を探る両国の協議は、開発を先行させてきた中国に主導権を握られたままだ。

 先月9日に北京で開かれた非公式実務者協議。外務省の佐々江賢一郎アジア大洋州局長は「『次はうまいまんじゅうを出す』といわれても、信用できない」と言い放った。中国側が「建設的な提案」を次回協議に先送りしたことに反発し、提案の概要を明らかにするように迫ったのだ。しかし、中国外務省の幹部は「まんじゅうの匂いはセイロの蓋を取るまでわからない」と煙に巻いた。

 石油消費で世界2位の中国と3位の日本。工業化の進展を背景に中国がエネルギー消費を増やせば増やすほど、資源権益を巡る両国の摩擦は高まる。


 1988年に冬季五輪が開かれたカルガリーを抱えるカナダ南西部のアルバータ州。真冬には氷点下40度まで下がる極寒地でいま、大手石油開発会社、石油資源開発のオイルサンドプラントが熱い湯気を立てて稼動している。

 石油成分のタールが砂と混ざり合ったオイルサンドは有望な石油資源として注目されている。6年前に商業生産を始めた同社のプラントでは260度の高温水蒸気をオイルサンドに送り込み、砂の中で固まった原油を溶かして地上に抽出している。
アルバータ州にはオイルサンドが広く分布しており、石油需給が逼迫する中で資源争奪戦の新たな標的となりつつある。

 4年後には太平洋岸にパイプラインも敷設される。「パイプラインでつながれば、日本にも輸入できる可能性がある」。先月、現地調査に入った資源エネルギー庁の箱崎慶一石油精製備蓄課長は手応えを感じている。

 ただ、パイプラインの恩恵を受けるのは日本だけではない。資源獲得に貪欲な中国にも大きなチャンスとなる。すでに中国海洋石油(CNOOC)に続き、中国石油化工(シノペック)も現地でオイルサンド権益を確保した。日本の石油業界関係者は「埋蔵量が多いため、採算度外視でも量を確保したい中国にとってはいいターゲットだろう」と分析する。


 ロシア・サハリンでも中国の影がちらつく。「このままでは開発したガスは全量、中国に売ることになる」-。一昨年秋、来日した米エクソンモービルの役員は日本の関係者に対し、中国を引き合いに出して、サハリン沖で生産される天然ガス購入を迫った。

 旧ソ連時代の1974年から進められている石油・天然ガス開発事業「サハリン1」。エクソンの主導で日本から伊藤忠商事、丸紅などが参加、日本政府も旧石油公団などを通じて巨額の税金を投入して来た。

 しかし、有力な販売先と見込まれていた東京電力などは購入に後ろ向きで、プロジェクトは足踏み状態にある。このままでは何年もかけて税金で開発した資源を中国に全量供給する事態にもなりかねない。

 東シナ海、カナダ、そしてサハリン。日中両国のせめぎあいは世界規模で広がる。日本はこの資源争奪戦に勝つことが出来るのか。石油業界関係者は「民間だけではなく、官民で国のエネルギー戦略を考える必要がある」と口をそろえている。

2006年2月2日 産経新聞特集
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