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エネルギー特集:第2部(4) 模索続く自治体との関係
2005年12月11日
 まだ真夏の暑さが残る9月4日。東京・大手町で「核燃料サイクルを考える」と題した国際シンポジウムが開かれた。主催したのは福島県。地方自治体が地元以外で原子力に関するシンポジウムを開くのは珍しい。

 シンポジウムの目的は、冒頭の佐藤栄佐久知事のあいさつが物語っていた。「核燃料サイクルは十分な議論もされないまま、継続する結論が出てしまった」。佐藤知事はシンポジウムを通じて、核燃サイクルの是非を改めて考えるべきだと訴えた。

 原子力発電所で発生した使用済み核燃料を再処理し、取り出したプルトニウムやウランを再び原発で利用する核燃サイクルは、国の方針として堅持することが閣議決定されている。

 しかし、かねて佐藤知事は「十分な議論がなされていない。国民的な議論を経て、今後の在り方を決めるべきだ」と主張している。県内に10基の原発を保有する全国有数の原発立地県の主張が、核燃サイクル路線に疑問を抱いている影響は決して小さくない。

 日本が保有するプルトニウムは昨年末時点で43.1トン。使用済み核燃料から取り出したプルトニウムの使い道がなく、1年前に比べて約2.5トン増加した。東京電力は、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを発電に再利用するプルサーマル計画を福島県から白紙撤回されたままで、消費する手段がないのだ。

 もちろん、佐藤知事がプルサーマルを認めないのは、平成14年8月に発覚した東電の原発トラブル隠しの不祥事が響いている。安全性などをめぐっては確かに地元自治体の理解が不可欠だが、一方で核燃サイクルは国のエネルギー政策の根幹でもある。「地方自治体の首長の意向が、国の政策を左右してもいいのか」。そんな声が原子力関係者の間で上がっているのも事実だ。

 「これで国策といえるのか。だから国策が危ういという指摘を受けるんだ」。4月22日の衆院経済産業委員会。近藤洋介委員(民主党)は政府の原子力政策の矛盾を厳しく追及した。近藤氏がやり玉に挙げたのは、国が原発立地の自治体に支払う交付金。本来は発電量に応じて支払われる仕組みだが、原発の定期検査期間などを考慮し、安全確保のために停止しても運転したとみなして満額交付されてきた。

 しかし、最近では国が安全性を確認したにもかかわらず、自治体側の意向で原発の運転が停止された場合でも「みなし運転」が適用されている。自治体は原発を止めたままでも補助金が受けられる。このため、近藤氏は「非常におかしい。見直すべきだ」と政府に詰め寄ったのだ。

 これを受け、経産省では来年度予算で老朽化した原発を抱えたり、核燃サイクル計画に参加する自治体には交付金を増額する方針だ。その一方で自治体の意向で原発を停止すれば、その期間分だけみなし交付金を減額する仕組みを導入する構えだ。

 だが、果たしてそれで問題が解決するのかどうか。揺れ動く国の原子力政策に、地方には根強い不信感があるからだ。

 東電と日本原子力発電が青森県むつ市に計画した使用済み核燃料の中間貯蔵施設が10月に認められた際には、地方の不信感がにじみ出た。青森県の三村申吾知事がこだわったのが核燃サイクルの継続だった。

 もし、政府が核燃サイクルを放棄すれば、受け入れた使用済み核燃料を永久に貯蔵させられる可能性があるためだ。三村知事は中川昭一経産相(当時)ら関係閣僚と相次いで会談。「最終的にすべて再処理されるので、使用済み核燃料を永久に貯蔵することはない」と確約を取り、ようやく立地に同意した。

 わが国の原子力政策は、国が基本方針を決めながらも実際の運営は電力会社に委ねるという「国策民営」で進められてきた。だが、電力会社は地元自治体の意向に配慮しながら、原発を運転しなければならない。近藤氏は「国と地方、そして電力会社の責任と権利を整理しなければならない」と訴える。

 三者の関係はどうあるべきなのか、その模索はまだ始まったばかりだ。

2005年12月11日 産経新聞特集
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2007/12/03(月) 11:23 | | #[edit]
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