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エネルギー特集:第2部(3) 動き始めたプルサーマル
2005年12月10日
 「準備が整い次第、手続きを進めさせていただきたい」。9月13日、中部電力の川口文夫社長は静岡県庁を訪れ、平成22年度から浜岡原子力発電所4号機(静岡県御前崎市)でプルサーマル計画を開始することを県に申し入れた。中電がプルサーマルの実施を検討していることを初めて公式に表明したのは平成6年2月。それからほぼ11年を経て、計画は実現に向けようやく一歩前に進んだ。

 核燃サイクルの具体化第一弾となるプルサーマルは、原発から発生する使用済み核燃料を再処理してプルトニウムとウランを取り出し、混合酸化物(MOX)燃料に加工して原発で再利用する。エネルギー資源に乏しい日本だが、いまだにプルサーマルは実現できてはいない。

 プルサーマルが進まないのには理由がある。電力業界は、考えられないようなトラブルや不祥事を起こし、計画の延期を余儀なくされる失態を繰り返してきたからだ。

 「二度と問題が発生しないように的確に取り組んでほしい」。福井県の西川一誠知事は昨年3月、県庁で関西電力の藤洋作社長(当時)と会談し、不祥事の再発防止にクギを刺したうえで、プルサーマルの再開を了承した。

 もともと関電は、東京電力と並んでプルサーマルでは電力業界の先頭を走っていた。だが、MOX燃料の加工を委託していた英BNFL社が燃料の検査データを改竄していた事が、日本に燃料が到着する寸前に発覚し、計画を凍結せざるを得なかった。それから4年。西川知事は再発防止策などをめぐる関電の体制は評価できるとして計画再開を認め、関電のプルサーマル計画はようやく動き出したかに見えた。

 ところが昨年8月、関電の美浜原発3号機(福井県美浜町)で起きた蒸気噴出事故で事態は再び暗転した。プルサーマル計画を了承してから、わずか約5ヶ月後に西川知事は再び県庁で藤社長と向き合い、こう告げる他なかった。「原子力に対する国民の信頼を覆した」。関電のプルサーマルは再び振り出しに戻ってしまった。

 東電も14年8月に原発のトラブル隠しが発覚。それ以降、福井県の佐藤栄佐久知事は「プルサーマルは白紙撤回」と繰り返し、東電の計画は止まったままだ。

 トップランナーだった東電、関電の頓挫で、プルサーマルは停滞を余儀なくされた。だが、世界的な規模で原発の重要性が再認識されるようになったのと歩調を合わせるかのように、今年に入って他の電力会社ではプルサーマルが相次いで進み始めている。

 9月7日には、九州電力玄海3号機(佐賀県玄海町)の計画を国が許可。中国電力も島根2号機(松江市)での導入について、同月12日に地元に事前了解願を提出した。四国電力も伊方3号機(愛媛県伊方町)の計画について、国による二次審査の結果を待っている段階だ。

 電力会社で構成する電気事業連合会の計画によると、22年度までに全国16-18機の原発でプルサーマルを導入する予定だ。ただ、プルトニウムを使うことに対する漠然とした不安もあり、プルサーマルへの理解を地元住民から得ることは簡単ではない。

 「プルサーマルはさらに危険を上乗せするようなものではないか」「東海地震が起こるまで計画は延期すべきだ」。中電は先月19日に御前崎市で開いたプルサーマルの公開討論会でも、反対派住民は不安を隠さなかった。会場には500人以上が詰めかけてほぼ満席となり、住民が高い関心を寄せていることをうかがわせた。だが、「エネルギーの安定供給のためにはプルサーマルが必要」とする賛成派住民との議論はかみ合わず。後味の悪さを残した。

 それでも中電は地元に対する理解活動を今後も継続し、遅くとも今年度中には国にプルサーマルの実施を正式に申請したい考えだ。中電など他の電力会社がプルサーマルに動き始めた中で、今後は東電、関電の実現に向けた努力が問われている。

2005年12月10日 産経新聞特集
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