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[中国カナダ接近 - エネルギー問題] 変わる国家像
2005年12月01日
 北米大陸のほぼ中央に位置するカナダのサスカチワン州から今年10月、州政府のローン・キャルバート首相とエリック・クライン産業資源相がそれぞれ中国を訪れた。州首相らが同じ時期に中国を訪問した大きな目的は、原子力燃料である天然ウランの売り込みだ。

 「中国との貿易関係は1950年代からで歴史は長いが、ウランについてはまだ交渉段階だ。将来的には日本のように良い顧客関係が築ければ・・・」とクライン氏は期待を語る。北京での商談相手は、核燃料を扱う直系の中国核工業集団公司(CNNC)。折衝では中国側は、カナダ産ウランの輸入と鉱山開発の段階から中国側が資本参加する構想に意欲を示したという。

 日本では馴染みの薄いサスカチワン州だが、ウランの確認埋蔵量は3位、産出量は世界一だ。同州最大の都市サスカツーン市には、ウラン・メジャーの加カメコ、仏コジェマ社の現地法人が拠点を構える。中国のほか、韓国の電力会社もウラン鉱の開発参入に関心を示している。

 経済成長が著しい中国は、石油など化石燃料ではまかなえない電力需要を原子力発電で補う戦略で、2020年には稼働9基に加え新たに約30基の原子力発電所を建設する計画だ。中国やインド、ベトナムといった新興国のほか、米国なども原発増設の方向で、ウラン需要は拡大。先高を見越した投機資金も流入し、ウラン価格は高騰が続く。

 クライン氏は「日本の会社も一部権益を持つシーガーレーク鉱山のウラン生産が2007年にスタートする。新しい市場開拓が必要だ」と話す。

 90年代の価格低下で停滞していた探査も活発化。カメコは探査投資額を一昨年から昨年にかけ1.7倍の3,600万ドルに増やした。

 アジア訪問を終えた州政府の肝いりで11月、州産業部局にアジアからの投資窓口となる「アジアデスク」が誕生した。中国語を話せる人員が3人。同州の貿易相手国としては昨年、米国に次ぎ2位だった日本を抜いた中国の存在感は大きい。

 一方、カナダの連邦政府も、今年が中国との国交開始35周年にあたることから、マーティン首相が1月、総勢約250人に及ぶ使節団で中国に乗り込んだ。9月には中国の国家元首としては8年ぶりに胡錦濤国家主席がカナダを訪問、両国のエネルギーや環境方面の協力を確認した。

 マーティン首相にはもう一つ別の思惑がありそうだ。昨年10月、米ニューヨークで開かれた経済クラブの夕食会で、エネルギー確保に奔走する中国市場の魅力を引き合いに出し、これまでカナダからあたりまえのように石油や天然ガスなどの資源を供給されてきた米国に影響が及ぶ可能性を示唆した。

 北米自由貿易協定(NAFTA)の決定を無視してカナダ産木材に関税をかけ続ける米国に、中国との結び付きを強めているオイルサンドやウランといった豊富なエネルギー資源をテコにプレッシャーをかける算段とみられる。

 こうしたマーティン首相の発言に対し、中国資本の流入で活況を呈するアルバータ州のクライン首相などは懸念を示す。

 だが、太平洋越しに中国と向き合うブリティッシュ・コロンビア州のソレン・ハーベル経済開発次官補は「経済発展の可能性を秘めた中国を世界中が狙っている。乗り遅れてはならない」と中国への期待感を露骨に語る。同州最大の都市バンクーバーは、香港の移民増加でこの10年ほど「ホンクーバー」と呼ばれる状態だ。

 カナダは米国への対外輸出が約9割を占め、「米国に取り込まれるのではないか」という意識が根強い。エネルギー獲得を目指す中国の急接近は、資源大国カナダの国家像や国の方針にまで影響を与えようとしている。

【サスカチワン州レジャイナ 杉浦美香】
2005年12月01日 産経新聞7面
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