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[中国カナダ接近 - エネルギー問題] 新パイプライン
2005年11月30日
 世界中から投資がオイルサンド市場に流れ込むカナダ。その中でも特に活発な動きをしているのが、中国の国有石油会社だ。

 今年4月、中国海洋石油(CNOOC)は、新興の開発事業者MEGエナジーの17%の株を、約1億5,000万カナダドル(約153億円)で取得した。同社の最高財務責任者、デール・ホッムさんによると、昨年8月、中国の派遣団がアルバータ州にオイルサンドの視察に訪れたのがきっかけだった。

 「我々は中国市場を学び、重油に対する関心が高い中国は重油事業について学ぶ。米国に偏りがちな市場を多様化するためにも、中国を含むアジア市場は本当に魅力的だ」とホッムさん。

 資本参加だけではない。カナダのオイルサンドを中国に一気に結びつける大事業も進んでいる。カナダのパイプライン会社「エンブリッジ」の「ゲートウェイ・プロジェクト」だ。

 計画の概要はこうだ。メジャーの製油所が集中するアルバータ州の州都エドモンドから、ロッキー山脈を越え、西海岸のキティマット港(ブリティッシュ・コロンビア州)まで新しいパイプラインを引く。全長約1,100キロ。総投資額は約25億カナダドル(約2,550億円)、2010年に完成予定で日量40万バレルを運ぶことができる。

 西海岸の既存のパイプラインはあるが、すでに処理能力が限界のうえ港が小さく大型タンカーが入港できない。新パイプラインで大きな港につなげれば、大型タンカーで一気にアジア市場にアクセスできるようになる。

 業界団体「カナダ石油産業協会」のオノ・デブリス事務局長は「オイルサンドは伝統的に内陸のパイプラインで、米シカゴなどの五大湖周辺の製油所に送られていた。我々は生産を拡大しており、タンカーによる海洋運搬で米国以外の新しい市場に目を向ける考えだ」と話す。現在の日量100万バレルを10年後には約3倍の270万バレルに増産する計画だという。

 このプロジェクトに、このほど中国石油天然ガス(CNPC)と中国石油化工集団(SINOPEC)それぞれが協力するという覚書を締結した。実現すれば、両者で50%以上のパイプライン使用権益を得ることになる。海外にエネルギー供給源を求める中国と、増産で市場の多様化を求めるカナダの利益が合致した形だ。

 こうした中国の動きについて、世界最大の石油消費国であるカナダの隣国、米国はどう見ているのか。中国のCNOOCによる米石油大手ユノカルの買収に米議会が反発し、買収を断念させた経緯は記憶に新しい。米国はカナダを、あたかも自分の”ポケット”としてエネルギー供給を受けてきたが、「その中に中国が手を突っ込もうとしているように思わないか」と、疑問をぶつけてみた。

 エンブリッジ社の開発担当副社長、ガイ・ジェイビス氏は「カナダは市場原理で動いており、米国が政治的に問題にすることはできないだろう。ただ内陸の米石油会社はオイルサンドの増産分を確保しようと躍起だ。来年中に中国がゲートウェイ・プロジェクトの最終決定をしない場合は、米国向けパイプライン増強に方針を変更するかもしれない」と語る。

 一方、中東に原油供給の90%以上を依存する日本は、オイルサンドに関して中国に1歩も2歩も後れを取っているのが現状だ。世界の油田開発が頭打ちの傾向にある中、急激に台頭してきたオイルサンドをどう位置づけるのか。激しい争奪戦を勝ち抜くためにもエネルギー戦略を再構築する時期にきている。

【カルガリー 杉浦美香】
2005年11月30日 産経新聞6面
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