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[中国カナダ接近 - エネルギー問題] オイルサンドの街
2005年11月29日
 地中に眠る膨大な量の重質油オイルサンドやウラン鉱山を有する資源大国カナダに各国から熱い視線が向けられている。中でも目を引くのが、なりふり構わずエネルギー確保に動く中国と、カナダとの関係強化だ。米欧の石油メジャーに割り込む形で存在感を高める中国。カナダからエネルギー事情の最前線を報告する。

 「かいでみてください。これを金のにおいという人もいます」

 同国西部アルバータの小都市、フォートマクマレーにあるオイルサンド博物館のガイド、ディアナ・マーサーさんはこう言って、真っ黒なオイルサンドを差し出した。鼻を近づけると、プーンと石油の匂いがする。

 フォートマクマレーの人口はここ10年で約2倍の6万人に急増した。オイルサンドの活況でゴールドラッシュの様相だ。住宅供給が追い付かず、地価も数年で4、5倍に跳ね上がりトロントやバンクーバーといった大都市並みだ。幹線道路には採掘場に通う自動車とトラックの渋滞が続く。極度の労働力不足にも陥っており、技術者や作業員を会社の飛行機で通勤させる会社も出てきた。唯一の娯楽場であるカジノは土日の夜ともなれば、200台あるスロットマシンがこれらの作業員たちで埋まる。

 地元の大学で機械工学を勉強するモハメッド・デラさん(22)はオイルサンド産業に就職するためモントリオールから移ってきた。「特別な技術が必要ない単純労働でも月5000カナダドル(約50万円)は稼げる。娯楽の少ない街だけれど、大きなパーティーが毎日開かれているようだ。誰もがこの街にやってきたがる」

 オイルサンドが商業的に資源として着目されたのは1960年代だ。
 しかし、1バレルの石油を生産するために2トンものオイルサンドを採掘しなければならない。粘性が強いため熱分解などで合成原油に軽質化したり、希釈剤を添加するため、通常の原油生産よりコストと手間がかかる。

 このため、原油安の時にはあまり注目されなかったが、2003年からの原油高や生産技術の向上から十分に採算が合うようになってきた。単純に比較できないものの、通常の原油価格が30ドルなら十分黒字だという。

 ダウンタウンから北へ約45キロ車を走らせた。道の両側に巨大なクレーターが地平線に広がっている。オイルサンドを露天掘りする業界老舗のシンクルード・カナダの採掘現場だ。アルバータ州の総面積約66万平方キロの約5分の1にあたる広大な地域に、原油が染み込んだオイルサンドの層が分布している。

 「カナダのオイルサンドの確認埋蔵量は1759億バレル。世界最大の産油国サウジアラビアに次ぐ。原油資源が枯渇するといわれているが、我々のオイルサンドで安定供給することは十分に可能だ」と、アルバータ州経済開発省のニコラス・ガータガニス部長は胸を張る。

 オイルサンド事業の税収や権益で潤うアルバータ州は黒字を州民に還元するため来年1月、州民1人あたり400カナダドル(約4万円)を配る計画だ。まさに「オイルサンドは金のにおい」というのもうなずける。

 しかし、「黒いダイヤ」に群がるのはカナダの企業ばかりではない。事業にはカナダの会社以外に英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルや米エクソンモービルといった石油メジャーが参入。今、注目されるのは、中国海洋石油(CNOOC)など中国の国有石油会社の資本参加だ。

 冬にはマイナス40度にも下がる酷寒の地。そこは、エネルギー争奪にしのぎを削るホットな場と化していた。

{オイルサンド}
石油を含んだ油層が地殻変動で地表近くに移動し、地下水との接触などによって軽質分を失ったもの。カナダとベネズエラで産出される。粘性が非常に高く、パイプラインでも流れない。このため、希釈剤を添加して出荷するか、改質施設で加熱したり水素を添加し、WTI(米国産標準油種)並みの軽い「合成原油」に転換して出荷する。

【フォートマクマレー 杉浦美香】
2005年11月29日 産経新聞7面
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