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なぜかあまり報道されない中国のアフリカでの暗躍
2005年08月28日
 米国政府内外では、中国がアフリカで石油や鉱山資源の獲得のための活動を急拡大し、特に独裁国家との絆を深めはじめた事への懸念が強く表明されるようになった。中国が資源戦略の対象として接近する諸国はみな、米国が独裁やテロ支援を理由に対決を深める国であるため、アフリカを舞台に米中両国の新たな利害の衝突が起きてきたといえる。

 ブッシュ政権の内外ではこのところ、「中国のグローバルな台頭」が真剣な関心の対象になり、世界規模での中国の経済、政治、軍事各面での影響力の拡大が米国と衝突しつつある現状への警告が発せられるようになった。アフリカは、その中国の戦略的な進出が特に顕著で、しかも米国の利益とぶつかりあう構図が明確となってきた。経済進出でも中国の場合、政府と一体の国有企業が主体で軍事援助などと絡むため、戦略的要素が強くなる。

 中国は自国への石油輸入全体の25%をアフリカに頼り産油国に多様な形で関与しているが、自国向けの産出を確保する形ばかりで他の諸国のようにその産油国の生産全体が増し、世界全体への輸出量が増加する形の投資をしないことが特徴だ。

 7月から8月にかけてワシントンで議会下院国際関係委員会が開いた「アフリカでの中国の影響力」と題する公聴会での政府代表の証言や、その他の政府関連研究機関による調査報告を総合すると、米国が懸念の対象とする中国のアフリカ進出の主要な例は次のようになる。

 《スーダン》中国は国有企業の「中国石油」や「中国海洋石油」を通じ総額40億ドルを投資し、スーダンからは輸入石油全体の7%を得ている。中国は技術供与や油田防衛の警備部隊供与から、ダルフールでの虐殺に関するスーダン政府への国連の制裁を弱めることまでを含む「包括援助」をしている。中国は軍事援助をも急速に増やしてきた。

 《アンゴラ》スーダン同様に自国民の人権弾圧を非難される政権は、中国からの石油関連の特別融資総額20億ドルを受け入れた。中国にとってアンゴラは世界第二の石油輸出国で、アンゴラ政府高官用に住宅多数を建造して寄付した。

 《チャド》台湾との外交関係を保つこの国へも中国は触手を伸ばし、「中国石油ガス」との間で石油共同生産協定を結んだ。

 《ジンバブエ》人権弾圧と独裁で世界的に悪名の高いムガベ大統領に対し中国は「パートナーシップ」を誇示し、戦闘機12機を売却した。国連でのジンバブエ非難をも抑えてきた。中国はその代わりにジンバブエのプラチナ(白金)を独占的に入手できる協定を結んだ。

 《ナイジェリア》中国はこの7月に国有企業の「中国長城工業」を通じて、ナイジェリア政府のために人工衛星を打ち上げると約束した。そのための具体的な技術支援はナイジェリアの石油と天然ガスへのアクセス権と引き換えのようになっていた。米英やフランスの企業計21社を抑えてのアクセス権獲得だった。

 以上のような中国のアフリカ進出の過程では、独自の経済援助を民主主義の統合とか政府の透明性という条件を付けることなく供与し、相手側が払えなくなると、アフリカ諸国31に対し総計13億ドルほどの債務放棄をしてきた。

 中国のアフリカへのこうした進出に対し、米国側では「米国が対外政策では民主化を最大の支柱として推しているのに、中国は米側が敵視や警戒をする非民主的な傾向の強い国々を特に選んで接近している」(米中経済安保調査委員会のキャロリン・バーソロミュー委員)として、米国への正面からの挑戦として受け止める向きもある。事実、スーダンやジンバブエはいずれも米国政府が人権弾圧国家とかテロ支援国家と特定するリストに載っている。

【ワシントン=古森義久】
2005年8月28日(日)産経新聞4面記事
透徹したリアリズム。したたかな国家戦略。
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