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エネルギー特集:第1部(4) 原油価格の主役
2005年11月02日
 「原油価格は1バレル=100ドルを突破する可能性がある」
 今年3月末、米ゴールドマン・サックスがまとめた一つのリポートが石油業界関係者に衝撃を与えた。世界的に原油需要が増大する一方、原油生産は大きな伸びが見込めず、今後も原油価格の上昇が続くと予想したのだ。

 ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)の原油先物相場は、このリポートに促されるように原油需要が減少するはずの4月に入ってから上昇傾向を強め、8月末にWTI(米国産標準油種)はついに1バレル=70ドル台を記録した。

 米テキサス州で算出されるWTIは、硫黄分が少ない高品質な原油だが、産出量は日量約40万バレルとわずかだ。約2,000万バレルの米国の消費量の数%にとどまり、輸出もされていない。にもかかわらず、世界の原油価格の代表的な指標と位置づけられているのは、NYMEXに上場し、先物取引の対象になっているからだ。

 世界最大の商品先物取引所であるNYMEXは原油高騰に沸きかえっており、現在のWTIの取引量は1日あたり2億-3億バレルにも達する。世界の原油生産量は日量約8,000万バレルだが、その3倍以上の原油が毎日、商品先物相場の中で取引されているのだ。

 ある石油元売大手のトップは「どこにそんな大量の原油があるんだ」と憤るが、それが現在の原油相場の実態であり、実需を大幅に上回る規模で取引されているのは、ヘッジファンドなどの投機資金が流入しているためだ。取引に参加する約30%は金融関係者と見られており、最近は彼らが動かす投機資金の動向が原油相場を大きく左右している。

 このWTIの価格が瞬時に世界に伝わり、日本が輸入する中東産ドバイ原油のほか、北海のブレント原油などの価格にも影響を与える。米国は世界の原油の25%を消費する世界最大の石油消費国でもあり、「WTIの先行指標としての影響力は、心理面も含めて無視できない」(東京工業品取引所の南学政明理事長)という。

 一方、中東の産油国を中心に11カ国で構成されるOPEC(石油輸出国機構)。原油の生産・輸出量を仕切っていた欧米の国際資本(メジャー)に反発して1960年に設立され、その生産枠を増減することで長年にわたり、世界の原油市況を支配してきた。

 しかし、ここ数年はその影響力の低下が指摘されている、OPECの原油生産量は現在、世界全体の40%に過ぎない。需要増大に伴ってロシアなど非OPEC産油国が生産量を増やしたため、相対的にOPECの存在感が薄れてきているのは否定できない。

 特に昨年来の原油高をめぐり、OPECは無力だった。原油価格を安定させようと生産枠を拡大して増産を進めたが、原油市場は反応しなかった。むしろOPECの生産余力が上限に近づいてきた中で、先進国側の要請に基づいて生産枠を拡大すればするほど、市場では将来の原油供給に対する不安が高まり、価格の上昇を招くという皮肉な結果につながっている。

 1980年代以降、生産能力を増やしてこなかったツケが、ここに来て一気に顕在化している格好だ。OPECが再び力を取り戻すには、生産能力を拡大するしかない。このため、OPECの盟主、サウジアラビアは大規模な増産投資を計画しているが、その成果があがるのは数年先だ。

 WTIという先物市場が生んだ金融商品は、ハリケーン被害やガソリン在庫の減少などの材料に過敏に反応し、世界の原油相場を席巻する。石油業界関係者は「OPECは欧米メジャーから原油の価格決定権を奪ったが、その後、WTIに主導権を奪い返された。そしていま、誰もWTIをコントロールできないでいる」と指摘する。世界は新たな価格決定方式を模索しているが、その答えはまだ見いだせていない。

2005年11月02日 産経新聞特集
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