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保守新時代 {第4部} 自民党と中国 - (下) ポスト小泉 四様の靖国と対中
2006年04月07日
 「日本の指導者が靖國神社を参拝しない決断をすれば首脳会談に応じる」と中国の国家主席・胡錦濤が訪中した元首相・橋本龍太郎らに宣言したことは、自民党内に大きな波紋を広げた。

 官房長官・安倍晋三は3日の記者会見で、「現在の日中関係の困難な局面について、すべての責任が日本の指導者にあるという主張は受け入れることができない」と強く反発した。首相・小泉純一郎への批判の形を取りつつも、胡が「ポスト小泉」候補を牽制したのは明白だからだ。

 「麻垣康三」と称される外相・麻生太郎、財務相・谷垣禎一、元官房長官・福田康夫、安倍 のポスト小泉候補のスタンスの違いは、対中外交、とくに靖国参拝でくっきり分かれている。

 安倍は、首相に就任した場合の靖国参拝について「(首相の)可能性があるかどうかは分からないが、(靖国参拝の)気持ちは持ちつづけたい」と語る。

 麻生も首相の参拝を支持しているが、3月8日の日本記者クラブでの記者会見では、「靖国神社に戦死者でない人がまつられていることが問題点だ。他の国々、国内からいろいろ言われないような形で参拝できる制度を考えるべきだ」とも語り、安倍との微妙な違いを打ち出した。

 一方、首相参拝に反対の立場をとるのが福田だ。福田は「首相が靖国に行くのは心の問題といわれているが、外交的に問題にならないような方法はないのか」とし、首相の靖国参拝に反対の考えを示すとともに無宗教の国立追悼施設建設を訴える。

 谷垣は「(靖国参拝は)日本人にとって非常に意味がある」としながらも、首相の参拝については「トップリーダーとして(中国などとの)関係を壊してはいけないということを比較考量し、どう判断するかだ」と慎重な考えを示している。

 その谷垣に中国側は積極的にアプローチしている。駐日大使の王毅は3月17日夜、都内の中国料理店で谷垣と会食、25日に訪中した谷垣に、金人慶財政相は「日本の指導者が靖国参拝を続けていることで日中関係が非常に難しい状況にある」とクギを刺した。


 過去の自民党総裁選で対中政策が最大の争点になったことがある。事実上、田中角栄と福田赳夫の一騎打ちとなった昭和47年の総裁選だ。

 関係者によると、総裁選を前に田中は、結成したばかりの自派閥の1年生議員に呼ばれ、「日中国交回復をやるのか、やらないのか」と詰め寄られた。それまで「日中関係にあまり関心のなかった」田中は、「それを求める国民の声があるとすれば、期待に応えようという気持ちもある」と慎重な言い回しながらイエスと答えた。国交正常化に積極的だった三木武夫、大平正芳の協力も取りつけ、決選投票で福田に勝った。田中は同年9月に訪中、日中共同声明に調印した。

 それから34年、皮肉な事に福田の長男、康夫は自民党内の「親中派」グループにかつがれようとしている。

 自民党旧宮沢派の流れをくむ丹波・古賀、谷垣両派と河野グループは「アジア戦略研究会」を設立したが、狙いは、ずばり「小泉後」の対中関係修復だ。出席者の一人は「安倍、麻生では日中関係はより悪化する。今こそベテランの力が必要だ」と「福田待望論」を隠さない。

 田中派の流れをくんで、中国と良好な関係を維持してきた津島派(70人)は、結束すれば総裁選の行方を左右できる勢力だ。同派は今月末をメドに政策を取りまとめる方針だが、幹部は「外交、特に対中外交は最大の焦点だ」と語る。

 その一方、「派内にはいろいろな意見があり、みんなの意見を聞いてみないと分からない」(伊吹派幹部)と様子見を決め込む派閥もある。


 こうした状況を小泉はどう見ているのか。

 1月25日夜。小泉は公邸に自民、公明両党の幹部を集めて会食した。与党幹部によると、小泉は自分から靖国問題を切り出した。

 「中国や公明党は私の靖国参拝をあれこれ批判する。でも見ていれば分かる。必ずその矢は自分にはねかえっていくもんなんだからね」

 さらに、こう言葉を継いだという。

 「靖国参拝を総裁選の争点にしちゃいけない。総裁選は自民党の中だけの選挙だ。自民党員の大半が参拝をよしとしている。つまり、靖国に行くと言った途端にその人が当選するんだ」

 事実、産経新聞社が自民党議員を対象に3月下旬実施したアンケートでも参拝賛成が反対の倍近くにのぼっている。

 小泉は3日の衆院行政改革特別委員会でも「一つの問題を条件付けて、言うことを聞けば『会う』、条件を満たさなければ『会わない』と。そんな国はほかにない」と述べ、中国の対応を厳しく批判した。

 小泉と近い自民党幹部の一人はこう語る。

 「あんまり中国が首相の靖国参拝をけしからんと言っていると、日本の首相を中国が決める印象になってしまう。靖国に行くなと言われたら、逆に参拝しない人は首相になりにくくなるんじゃないか」

 総裁選最大の争点の一つに浮上した靖国と対中政策。経済と安全保障に「心の問題」が複雑にからみあった難題に各候補はどのような答えを出すのか。その結果は日本の保守政治の今後を決定付けるものとなろう。
(敬称略)

「保守新時代・第四部」は、高橋昌之、阿比留瑠比、佐々木美恵、加納宏幸が担当しました。
2006年04月04日 産経新聞3面記事
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2006/05/07(日) 10:27 | | #[edit]
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