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資源小国の挑戦 第2章 原発再考(5) IAEAの優等生
2006年03月30日
 原子力発電所で使われた使用済み核燃料を一時的に貯蔵しておく燃料プール。全国の原発にあるこの施設には、原発で働く社員でさえも許可なく手を触れることができないカメラが設置されている。国際原子力機関(IAEA)の監視用カメラだ。関西電力美浜原発(福井県)では、カメラの近くに「IAEA査察中 カメラ前方の視界をさまたげるな」との掲示があり、いかにこのカメラが重要な設備であるかを示している。

 IAEAは文字通り”核の番人”だ。監視用カメラが目を光らせるのは、プール内に沈む使用済み核燃料。使用済み核燃料は、核兵器への転用も可能なプルトニウムを含んでおり、厳重な管理が欠かせない。カメラは数分に1回、シャッターを切り、フィルムは定期的にIAEAの担当者が回収する。異常な作業が行われていないかどうかを常に監視しているのだ。

 日本は核兵器を保有していないにもかかわらず、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理が認められている例外的な国だ。その一方で昭和51年には核拡散防止条約(NPT)に加盟し、IAEAによる国内の原子力関連施設への査察を積極的に受け入れてきた。

 こうした姿勢が評価され、平成16年6月にIAEAのエルバラダイ事務局長が「日本の原子力利用に核兵器転用の恐れはない」と宣言し、それまで3ヶ月に一度あった原発に対する査察も同年9月からは半減された。「IAEAの優等生」。日本の原子力関係者の多くはこう胸を張る。


 米国は今年2月、世界の核不拡散体制の枠組みを大きく変える構想を発表した。「国際原子力エネルギーパートナーシップ(GNEP)」だ。世界各国を「核燃料サイクル実施国」と「原発導入国」に二分し、サイクル実施国が他の原発導入国向けに核燃料の安定供給や再処理を行う。一方で原発導入国にはウラン濃縮や再処理の放棄を迫り、平和利用を装った核兵器開発を封じ込める狙いがある。

 このGNEP構想の発表に先立って、米エネルギー省幹部は今年1月、密かに来日し、詳細な内容を事前に説明して日本に強力を求めた。構想の中で米、仏、英、露、中の5ヶ国と並び、日本は核兵器を保有していない国としては唯一、核燃料サイクル国として認められた。

 もし、こうした核燃料サイクル国に日本が加われなければ、将来、核燃料サイクルの技術開発の中止を求められる恐れすらあった。米国と水面下で協議してきた経産省幹部は「GNEP構想への協力は、日本の原子力産業の国際展開にもつながる」と期待を込める。

 日本がGNEP構想で核燃料サイクル国に選ばれたのは、米国が日本の技術水準を高く評価したためだが、IAEAがわが国の原子力技術が核兵器に転用される恐れがないとの「お墨付き」を与えた影響も大きい。


 「核の平和利用の権利を奪おうとするのはおかしい」

 イランのアフマディネジャド大統領はこう主張し、国際世論を無視してウラン濃縮作業を継続している。イランは核関連施設に設置された監視用カメラの撤去を求めるなど、IAEAの査察にも強硬姿勢を強めている。イランの核開発問題は、IAEAから経済制裁を発動できる国連安全保障理事会に移されて本格的に審議される。

 日本がIAEAから核武装の疑いのない国として正式に認められるまでには、約30年にわたって核関連技術の平和利用をめぐって地道な努力があった。現在のイランの強硬姿勢とは対極にあるといえる。

 「韓国など原子力利用の実績や技術を持つ国々にとって、日本は将来、目指すべきお手本になるはず」。日本での核燃料サイクルの実現に尽力してきた三菱マテリアルの秋元勇巳名誉顧問はこう指摘する。

 IAEAの査察に積極的に協力し、核関連技術は核兵器開発に転用しないという姿勢を他国に認めてもらうことこそ、エネルギーの有効利用を目指すウラン濃縮や核燃料サイクルの近道になるからだ。

2006年3月30日 産経新聞特集
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