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エネルギー特集:第1部(3) 中国の脅威
2005年10月31日
 日本の大手石油開発会社の元海外担当者は、8年前の場面が忘れられない。南米の産油国、ベネズエラが実施した油田鉱区の国際入札で、中国最大の国有石油会社、中国石油天然ガス集団(CNPC)が文字どおり札束で油田を買いあさる様子を見せつけられたのだ。

 ある鉱区では2位グループの2.5倍以上も高い約1億1,800万ドル(約135億円)で落札。別の鉱区では日本勢の提示額の20倍以上となる約2億4,000万ドル(約276億円)を提示して権益を得た。この担当者はその日を境に、油田鉱区をめぐる国際入札の勢力図が大きく塗り替わったと感じている。

 中国の2004年の石油消費量は日量643万バレルと90年に比べて約3倍に達した。増え続ける消費を賄うため、中国では海外での資源獲得を加速している。だが、今夏に中国海洋石油(CNOOC)が米石油会社ユノカルを買収しようとした際には米議会が反発。カザフスタンに油田権益を持つカナダの石油会社をCNPCが買収しようとした際には、カザフ議会が異議を唱えた。資源確保をめぐる中国との軋轢は、世界に広がる。

 隣国の日本にとっても、中国の脅威は高まるばかりだ。なかでも両国間に横たわる最大の懸案は、東シナ海の石油ガス田開発問題だ。

 「炎を確認しました」

 今年9月19日、樫(中国名・天外天)石油ガス田の中国施設から採掘開始を示す炎が上がった。確認したのは、海上自衛隊のP3C哨戒機。この情報は、ただちに首相官邸や外務省、経済産業省に報告された。

 中国に対抗するため、申請から30年以上が経過した今年7月、政府は帝国石油に試掘権を許可した。だが、実際に試掘に踏み切れば、艦船による体当りや射撃による威嚇、強制排除など、中国側が激しい妨害活動に出る恐れも指摘されている。

 中川昭一経産相は10月25日の参院経済産業委員会で、「(中国側に)違法行為があった場合には日本の国民、財産、権利、経済的利益を守るのは国の責務」と明言。自衛隊の派遣も視野に入れ、一歩も引かない強い姿勢を示した。

 こうした毅然とした態度は評価されていい。だが、一方で、国内の石油開発会社には「中国との問題がここまでこじれた原因は政府の怠慢にもある」との声があるのも事実だ。

 自民党の武見敬三参議院議員が参院外務委員会で東シナ海の資源問題を取り上げたのは、今から10年前の平成7年12月。武見氏は日中中間線より日本側で、中国船籍の海洋調査船が調査活動を行った事実を指摘。そのうえで、「国内企業に同海域の地質調査を認めないで、中国の海洋調査船が事前了解もなく調査するのは認めるのか」と政府の姿勢をただした。

 これに対し、当時の外務省アジア局長は「具体的に中国の活動内容を把握した上で、然るべき対応を行う」と答えた。だが、日本政府は、その後も厳しい交渉を避けて問題を先送りにしてきた。その結果が樫の採掘開始だった。武見氏はいま、「中国への外交的配慮が過ぎた」と政府の対応を残念がる。

 中国は、樫の北側に位置する白樺(中国名・春暁)石油ガス田でも開発を続けている。日中中間線からわずか1.5キロほどの場所には巨大な採掘施設の建設が進み、生産が始まれば、中間線を越えて日本側に埋蔵する資源まで吸い上げられてしまう懸念がある。

 ただ、東シナ海の開発を担当するCNOOCの事業計画によると、白樺の確認埋蔵量は原油換算で3,690万バレル。日本国内で消費される天然ガスの1ヶ月分に過ぎず、日本の資源開発会社の多くも「投資を回収できない不採算事業」と見ているのが実状だ。

 それでも両国政府が東シナ海のガス田開発にこだわるのは、国家主権に直結するからに他ならない。両国の実務者協議が難航する中で、日本政府はどのような落としどころを見出すのか。東シナ海の石油ガス田開発は、日本外交の試金石でもある。

2005年10月31日 産経新聞特集
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