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[論考 中韓の教科書]中国編(4) 戦勝国の地位 アピール
2005年06月17日
 ここで少し教科書を離れ、モスクワの中国大使館に目を移してみたい。

 5月8日夕、対独戦勝60周年式典に出席のためロシアを訪れていた中国の胡錦濤国家主席は、大使館に招かれた80歳前後の旧ソ連軍人らを前にしたスピーチで「心からの感謝」を伝えた。

 「中国の抗日戦争が重大な局面を迎えたとき、ソ連赤軍は中国東北の戦場に赴いてわが軍民とともに日本と戦い、抗日戦争の最後の勝利に重大な支援を与えてくれました。(中略)幾多のソ連赤軍将兵が勇敢に戦い、散華されたその英雄的な功績は、永遠に中国人民の心に刻まれております」

 もうお分かりの通り、老兵たちは第二次大戦末期の1945年8月、日ソ中立条約を破って満州(現中国東北部)に攻め込んだ赤軍部隊の生き残りである。

 モスクワで開かれる対独戦勝式典に中国首脳が出席したのは、10年前の江沢民国家主席(当時)に続き2度目だ。中国はこの式典を「世界反ファシズム戦争」の戦勝記念と位置づけるが、今回は胡錦濤氏が、満州へのソ連侵攻が中ソ共同による世界平和への貢献だったと、明確に”宣言”したことが大きな特徴だった。


 中国戦線での対日抗戦について、中国の高校歴史教科書「中国近代現代史・下」(2003年版)は、「世界人民の反ファシズム戦争勝利に対する重大な貢献であり、中国の国際的地位を高めた」と意義付ける。米ソ(露)など他の戦勝国と肩を並べるに十分な役割を中国は担っており、国連安保理常任理事国のイスに代表される国際的な地位向上はこの戦勝の果実だ、という考えだ。

 中国の対日抗戦について、他の連合国からの支援も巧みに織り込みながら、世界平和への積極的な「貢献」をアピールする強気の姿勢は、2000年代を迎えて中国の教科書で改訂のたびに強まってきた。高校歴史の学習指導要領にあたる「教育大綱」では、2002年の改正から、対日抗戦の勝利を世界への「貢献」とする指針が新たに加えられた。

 「貢献」の内容だが、日本の強大な軍事力を中国が泥沼の戦線に引き付けた、というあたりが基本線となっている。

 高校教科書「世界近代現代史・下」には、日米開戦後の1942年の情勢として、「日本陸軍の3分の2以上は中国の戦場にくぎづけとなり、陸上での新たな進撃を図る余力は無かった」という記述がみえる。同様の見方は、対独戦勝60周年を記念した5月9日付の中国軍機関紙「解放軍報」社説にも登場し、「日本軍に北上計画の放棄を迫り、南進戦力を弱体化させた」という戦略的な評価につながっている。

 国内戦線だけでは「貢献」の国際性に欠けるとの判断からだろう。昨年5月作成の試用版高校教科書「歴史1」では、ビルマ(現ミャンマー)に外征した国民政府の正規軍が、米英軍とともに日本軍を攻撃したケースが取り上げられた。

 この「歴史1」の教師用指導書は、このビルマでの作戦を「中国軍初の国外での戦いであり、中国人民の抗日戦争と世界人民の反ファシズム戦争をより緊密に結びつけた」と位置づけている。この作戦からわずか半世紀前の日清戦争(1894年)が朝鮮半島を戦場としたことは、李氏朝鮮を属国として外国扱いしなかった清朝の立場を引き継いで、無視している。

 世界平和に向けた中国の「貢献」と戦勝国としての地位を強調する主張が強まった時期は、愛国主義教育を推し進めた江沢民政権の末期にあたる。冒頭に挙げた胡錦濤氏のスピーチもこの路線の延長線に違いない。

 だが、ここに日本との大きな落差がある。開拓団員など民間人に対する殺傷、略奪から戦後のシベリア抑留まで、ソ連の侵攻後に在邦人がなめた辛酸は、日本人の記憶では原爆投下と並ぶ純粋な戦争被害の体験だ。

 「満州国」の是非をどう論じるかはいい。満州侵攻に関してソ連の「功績」を中国の最高首脳が手放しでたたえたことは、日本人の理解を超えた。江沢民氏が10年前にモスクワで行った演説が教科書に収録されたのと同じく、今回の胡錦濤氏の冒頭発言も、将来の教材化が懸念されそうだ。

山本秀也氏 産経新聞2005年6月17日付朝刊記事

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