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エネルギー特集:第1部(1) 原油高騰
2005年10月29日
 都内有数の交通量を記録する環状7号線は、ガソリンスタンド間の競争が激しい。

 この幹線に面した新日本石油系のガソリンスタンドでエリアマネージャを務める松原友治さんは、ガソリン価格を比較するホームページをチェックするのが日課だ。「周辺店の価格は追いかけます。商売ですから」。都内平均のレギュラーガソリン価格が1リットルあたり134円なのに対し、松原さんの店は127円に抑えている。

 石油情報センターによると、昨年4月に全国平均で1リットルあたり107円だったガソリン価格は、1年間で10円上昇。その後、値上がりのペースが加速し、この半年あまりで更に14円も値上がりした。現在は14年半ぶりの高値水準にある。

 松原さんの店は固定客が多く恵まれているが、ガソリン価格上昇の影響は免れない。価格に敏感なフリー客では満タンにする人がへり、「3,000円分」などと金額指定の客が増えた。固定客の来店数も昨年の月2.7回から2.2回に減少し、1回の給油量も30リットルから27リットルに減った。

 それでも価格上昇の勢いが急だったため、ガソリンスタンドは卸価格の上昇をすべて小売価格に転嫁できてはいない。少しでも値上げ幅を抑えようと、松原さんの店では人件費を昨年より10%以上引き下げた。だが、ガソリン販売ではなかなか利益を上げられず、中古車販売など他の仕事で利益を稼ぎ出す。

 原油価格が高止まりしている。世界の原油価格の指標となっているWTI(米国産標準油種)の先物価格は、8月末に一時1バレル=70ドルを突破。その後、多少落ち着きを見せているが、今でも60ドル台という歴史的な高値圏で推移している。

 これに円安も加わって日本の原油輸入価格は、9月段階で1月に比べ1リットルあたり16円上昇している。年間約2億4千万キロリットルの原油を輸入している日本の調達コストは4兆円も膨らむ計算だ。

 物価が下がりつづけるデフレが解消されない日本では、こうした原油高の影響は最終価格にまでは及びにくかった。しかし、最近ではガソリンだけでなく、他の商品にも少しずつその影響が顕在化し始めている。企業によるコストの吸収は限界に近付いているのだ。

 週末は家族連れでにぎわう回転すし店。1皿100円という安さで人気だが、近い将来、安いマグロを食べられなくなる日が来るかもしれない。

 インド洋など遠洋マグロ漁船の操業日数は400日にも及ぶ。出航時に燃料のA重油を目一杯積み込み、航海先では日本鰹鮪漁協連合会の指定補給船で燃料を数回補給し、航海後に燃料費を水揚高で決裁する。年間で1千キロリットルの燃料を消費するが、補給船で給油を受ける燃料価格は昨年5月の1キロリットルあたり4万7,000円から、現在は8万2,000円へと74%も上昇した。

 燃料費高騰に伴う年間のコスト上昇は3,500万円に達し、水揚げが少なければ、燃料費を払えなくなる恐れもある。「赤字で決裁できなければ、操業停止に追い込まれてしまう」。宮城県北部鰹鮪漁業協同組合(気仙沼市)の桜木勇人専務理事の憂慮は深い。

 原油高は野菜や果物の生産にも影響を与えている。全国一のピーマンの生産量を誇る宮崎県。南国とはいえ、さすがに冬場はハウス栽培に切り替わる。A重油を燃やし始めるのは11月からだが、燃料費の値上がりで平均的なピーマン栽培農家の負担は、昨年に比べ110万円以上増える。その分を価格転嫁したいが、JA宮崎経済連の池下荘野菜課長は「値決めは大手スーパーなど小売り側が主導権を握る中で、難しい」と原油高騰に悲鳴を上げている。
 中国やインドネシアなどの石油輸入国が経済発展に伴って輸入国に転じた。世界的に原油需要が大きく伸びた半面で、生産は頭打ち傾向にあり、新たな石油危機が静かに進行している。一方、わが国では急ピッチで進んだ電力自由化が原子力政策を揺さぶっている。世界的な規模で「エネルギー欠乏時代」を迎える中で、日本のエネルギー戦略を追う。

2005年10月29日 産経新聞特集
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